IT事業部の山田です。

サクシードでは、週の始まりの日に「早朝勉強会」を開催しています。
最近は、日本でもコンビニで使われ始めたキャッシュレス決済や、そこに関連する税制優遇、あるいはAIを活用したビジネスの変化や、補助金の情報のシェアなど、時代の流れに合わせたテーマで勉強することが多いです。

先日、私が担当したテーマは「OMO」について調査した内容を共有しました。
その内容を紹介しようと思います。

中国のデジタル市場の本質とは

近年、デジタル先進事例を学ぶために、欧米ではなく中国へ視察へ行く人や企業・団体が増えています。
その方々が学ぶ事例は、例えば「モバイル決済・キャッシュレス決済」や「外食のデリバリー事業」「シェアリングエコノミー」など、その取組や技術の説明を受けて、「日本では普及しないだろうな」「中国だからできるんだな」という結論で終わってしまう方が多いように感じています。

しかし、中国がデジタル先進国になった本質はまったく別のところにあると考えられています。それが『デジタルオーバーラッピング』です。

デジタルオーバーラッピング

デジタルがリアルを包み込んでいる状態のことを指します。
デジタルを「オンライン」、リアルを「オフライン」と言い換えれば、オフラインでのユーザーの行動がデジタルデータ化されて、オンライン上で利用できる状態、とも言えます。

先程の「モバイル決済が便利、シェアリングエコノミーは便利」という事例の背景には『これまでオフラインだった行動(お金を支払う、車を借りる、移動する、商品を選ぶ、など)が、個人のIDと紐付いたデータとして蓄積され、活用できる』という状態が出来上がっている。
これがデジタルオーバーラッピングであり、中国のデジタル市場の本質であると言えます。

「オンラインとオフラインを分けて考える必要はなく、もはやオフラインが存在しない」ということは、ありとあらゆる日常生活やビジネス・マーケティング活動がオンライン化・デジタル化されたとも言えることから、『アフターデジタル』と呼ばれることもあります。

技術の進歩により、あらゆる活動がデジタル化されることは、裏を返せば「利便線・便利さ・手軽さ」と引き換えに、個人の行動データを差し出すことにもなります。
モバイル決済先進国:中国では、国家による規制緩和「インターネット+」からわずか3年で、7億人以上が財布を持たずにスマホによるモバイル決済を使うようになりましたが、個人IDと行動データが紐付いていると心配している人はほとんどいないのではないでしょうか。

O2OからOMOへ

今やマーケティングでは説明の必要がなくなった「O2O」という考え方があります。Online to Offline。オンライン(WebサイトやSNSなど)からオフライン(実店舗)への誘導・購買につなげるマーケティング手法のことです。

しかし、中国では「OMO」というマーケティング手法が既に浸透しつつあります。
Online Merges Offline、オンラインとオフラインの融合。

そもそも「Online」「Offline」というチャネルで分けた考え方は出し手目線で、オフラインとオンラインの境界がなくなってしまえば、ユーザーはその時に一番便利な方法を選ぶ、という考え方です。
つまり、企業側は「Online」でも「Offline」でも幅広い選択肢を提供することが重要ということになります。

実際、中国では既にOMOの考え方に基づいたビジネス行動が広がっています。
ここで重要なことは、どんな商品・サービスを売るか、どんな売り場にするかといったことよりも「どうすればユーザーが喜んでくれるか」ユーザー目線に立った仕掛けをしていく必要があります。
さらに、行動データを収集・解析して高速でPDCAをまわすといったオンラインマーケティングの手法を活用して、ターゲットユーザーの行動を先回りして自社商品への接点をいかに増やすか。

そう考えると、商売の本質という意味では大きな変化はないのかもしれません。
お客様目線で、原理原則に基づいたビジネスがやはり重要ということですね。