いい会社への経営戦略、事業承継に強いコンサルティング会社サクシードの市川です。
経営計画・経営計画発表会という言葉は、経営者にとっては聞き慣れた言葉だと思います。サクシードが考える経営計画は、経営理念や行動指針から始まり、事業ビジョン、事業戦略、アクションプラン、単年度スローガン、社員目標、財務計画等々、がまとめられた会社全体の方針が示された重要な指標であると考えています。

しかしながら、多くの中小企業経営者は経営計画の効果を知らず、「うちの会社規模だと関係ない」「経営計画がなくたって経営できている」「効果が漠然としていて、取り組みにくい」といった観点から経営計画に取り組んでいないのが現実だと思います。

それでは、経営計画を作り発表会をすることで、どんな効果があるのか。コンサルタントとして経営計画策定から発表会までお手伝いさせていただいた経験から3つの視点から考えていきたいと思います。

①自社の考え方(理念・行動指針等)が明確になり、共通言語が生まれる。
社長自身が創業者の場合、社長の考え=会社の考えです。おそらく経営理念がない会社で初めて明文化した経営理念を掲げても、社員からすると「なんだ、いつも社長が言っていることだ。」といった反応になると思います。でもそれが重要だと私は考えています。当たり前のことでも明文化することで、社長と社員の共通言語・共通ルールとなります。

私がお手伝いさせていただき経営計画発表会をした企業の社員さんは、「市川さん、会社の考え方を守れていない社員がいます」と企業訪問時に報告してくれました。経営計画発表会後、たったの半年で社員にとっての判断基準が、経営計画に記載された基本理念になっていたのです。

②会社方針、ビジョンが見える化できるので社員が安心する。
 社員にとって会社は、経済的な安定を実現するためになくてはならない重要なものです。会社がなくなってしまうのではないかという不安の中では、社員が良いパフォーマンスを発揮できるとは到底思えません。経営計画を発表することで、会社の方向性を社員が触れることができるため、「うちの会社はちゃんと考えてくれている」といった安心感につながります。

 経営計画を作成された企業の社員さんの中には、「5年後を見据えて、私の事業部にはこれが必要だと思います」と短期的ではなく、長期的な目線での意見交換ができる方も出てきました。これも経営計画の効果だと思います。

③社長自身が、経営計画によって覚悟が決まる。
 経営計画には、社長が社員に示す約束事が多く含まれています。もちろん経営計画に掲げられる目標値は会社全体で取り組むことであり、社長一人で取り組むことではありません。しかしながら、作り上げた計画書を会社で一番やりきる覚悟を持たなければいけないのは、社長であると私は考えています。
なぜなら、経営計画に掲げた計画を、社内で唯一あきらめることができるのは社長だけだからです。社長があきらめても誰も指摘しませんし、あきらめても急に会社が傾いてしまうこともないでしょう。でも間違いなく長期的な成長はなく、おそらく優秀な社員から会社を去っていくと思います。

 経営計画を初めて作成した経営者様が、完成した経営計画書を見て、「これでもうやるしかないですね。」と覚悟を決めた一言をおっしゃったのをよく覚えています。経営計画書によって得られた覚悟に行動が伴えば、社員は必ず経営者の背中を押してくれます。

 3つの視点について考えていきましたが、社長にとって経営計画書をつくることでのデメリットはひとつもないと言えます。経営の指標である経営計画書があることで、会社内に一体感が生まれ、結果として好業績になる可能性が高まると私は考えています。

「必ず業績が上がりますか?」という質問をよく受けますが、はっきり言って必ずではないです。しかしながら、会社方針が明確な経営とその場しのぎの経営では、中長期的に見て業績に差が出るのは明確です。短期的な視点ではなく、中長期的な視点で経営を見たときに、自社に経営計画が必要かどうかを経営者様には真剣に考えてもらいたいと思います。

読んでいただいた皆様の成功を、全力で応援します!